2002年度夏学期 試験問題

2002.7.31 90分 松原望


  持ち込み可 :テキスト(副読本を含む)、自筆ノート、電卓 
  持ち込み不可:ノートをコピーしたものの類
  問題順に解答を書くこと。       
      文 系 は [1] [2] [3] を 含 む 7 題 を 選 択

[1] 集団の代表値に関して、実感と客観値が大きく異なる理由とその是非(150 字以上)

[2] 偏差値と定義とその適用の社会的是非(同)

[3] 新薬(安全は検証ずみ)の臨床試験で、新薬を一定数の患者に与え、それと平行して、ほぼ同数の他の患者に外見上その新薬と同一の無害な無効薬を与える(すなわち、患者は 2 つの群に分けられる)。心理的効果を遮断するために、無効薬であることは告げず(したがって新薬であることも告げず)、また各患者にいずれを与えるかは医師に替わって他の専門家がたずさわる。その後 2 グループのデータから有意性の統計的検定を行う。
 この方法(2 重盲検法)の問題点、その是非を問う(同)。
   * この無効薬を「プラセボ」Placebo(偽薬)という。

[4] 加熱している金属棒の場所 (x) ごとの温度 (T) を 9 点で測定したデータから
   Σxi = 45.0, ΣTi = 466.7;
   Σ(xi−x)2 = 60, Σ(Ti−T)2 = 5627.6622, Σ(xi−x) (Ti−T) = 564.500
を得た。これから
   i) 温度 T の場所座標 x への回帰方程式
   ii) 決定係数
を求めなさい。

[5] 湿原地に生息するある動物種は 10,000 匹程度と推定され、そのうち 3,500 匹程度がある種類(A 種)とされている。その沼沢地で 100 匹を捕獲して調査するとき、そのうちの A 種の数の期待値、分散・標準偏差を 2 つの確率分布を用いてそれぞれ求めなさい。

[6] コイン(表裏の確率が等しい)を n 回投げるとき、表の出る回数 X が n/2(回)から n の ±1%あるいはそれ以上ずれることはよくあることだ、といいきれるか。中心極限定理によれば、X はほぼ正規分布 N (n/2, n/4) にしたがう。

[7] 2 次元の確率変数 (X, Y) の確率分布が
   P (X=1, Y=1) = 1/10, P (X=1, Y=−1) = 2/5, P (X=−1, Y=1) = 3/10, P (X=−1, Y=−1) = 1/5
のとき、E(X), E(Y), V(X), V(Y), Cov(X,Y), ρXY, E(X+Y), V(X+Y)を求めなさい。

[8] ある政策に対する賛否の世論調査でサンプル・サイズ 1000 のランダム・サンプルを抽出した。もとの母集団での賛成率が 0.6 のとき、サンプルにおける平均賛成率(賛成者の比率)の範囲を○○±△△(%) の形で予想しなさい。± の範囲は標準偏差の 2 倍を用いること。

[9] 次の数字は [0, 1] 上の一様乱数の 10 個である。
  0.3104913 0.3304700 0.0324358 0.8283330 0.1727581 0.6306326
  0.7210595 0.2451280 0.8197760
このデータを分析するために次の性質を使う:
  a) これから (*1) に従い計算すると、理論上 [ (1) ] に近い値となるはずである。
  b) これから (*2) に従い計算すると、理論上 [ (2) ] に近い値となるはずである。
*1, *2 に、統計学上の概念およびその一般的計算式、(1), (2) に数値を入れなさい。

[10] 「○○成分15%」と表示してある清涼飲料 25 かんを調査し、平均は 13.7%という結果を得た。メーカーに問い合わせたところ、「誤差の範囲内でしょう」という返答が戻ってきた。メーカーは、生産工程の分散は σ2 =5.5 となっていることを公表している。このデータに有意差は認められるか。正規分布を仮定してよい。


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