ヒポクラテスの医学

『人間の本性について』

人体の4体液説

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 第1章概説へ


 人体はその中に血液、粘液、黄胆汁および黒胆汁を有し、これらが身体の本性であり、これらによって人間は痛みを感じ、健康にもなります。人が最も健康であるのは、これらの要素が適当に混合され、力も量も均衡がとれており、しかも完全に混合しているばあいであり、疼痛(とうつう)を感じるのは、これらの要素の1つが欠乏したり過剰であったり、体内で分離してほかの全体と混合しないばあいであります。さらに、ある要素が過剰なため、必要以上に身体の外に流出するばあいには、この放出が痛みの原因となります。また、もし放出と転移とほかの要素からの分離が内部に向かうならば、さきに述べたように、患者には二重の苦痛が生じることになります。すなわち、その体液が欠如する部分と充満する部分とに。