第3章 健康の向上は環境対策から

環境と健康が密接に結び付いていることは先にも述べた。その健康の改善となると、従来から医学的、臨床的な治療が優先し、環境を管理する考え方はなおざりにされてきた。例えば、家庭や地域レベルで見ると、発展途上国に代表される貧困地域では上下水道の普及が不十分なために毎年250万人の子供達が下痢などで死亡している。またWHO(世界保健機関)の報告は、全世界の疾病負担のうち環境 因子に関連する割合は23%にも及ぶと推定している。さらに、高度工業化社会のなかで、化石燃料の利用を削減すれば、大気の質が向上し健康のためになるだけでなく、酸性雨の被害を防ぎ、将来的に予測される気候変動の幅を狭めることにもつながるであろう。つまり、治療だけでは及ばない部分を、環境を管理し改善するだけでも健康状態が大幅に改善されることは明らかである。

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