第6章 経済指標


国民総生産(GNP)及び国内総生産(GDP)の推計値、1995年
政府開発援助(ODA)及びその他資金フロー、1983〜1995年
世界銀行による商品指数と価格、1960〜1996年


 環境が関わる主な経済指標にはまずGNP(国民総生産)、ODA(政府開発援助)がある。対外債務総額も ODA と同様の領域と考えてよい。それらと環境問題との結びつきについて考えてみよう。
 GNP は GDP(国内総生産)と海外からの純所得という二つの要素を合計したものである。生活の豊かさ指標である一人当たりの GNP が高ければ生産・消費の経済活動が盛んになるが、環境への負担も大きくなる(第4章)。しかし、その環境破壊の被害者は発展途上国に偏っており、先進国は比較的にそれを免れているという矛盾がある。
 ODA は先進諸国政府による発展途上国への資金面ならびに技術面での開発援助のことである。多くの資金が先進国から発展途上国に流れ、多くの発展途上国で開発ラッシュが起こっている。その分環境破壊が深刻であることは、いくつかの発展途上国で森林の大破壊が進んでいることからも推測できる。従来 ODA 受け取り額が大きい国ほど環境問題が深刻になりがちであるが、今後は環境保護のための ODA こそが望ましい。
 対外債務総額にも ODA と同様なことが言える。海外から資金を借り入れるのは主に発展途上国である。対外債務総額が世界最大であるブラジルのアマゾン川での開発ラッシュは熱帯雨林の破壊を引き起こしている。対外債務の総額と環境問題の深刻さを関連づけて考えることは有益であろう。

(注) 本章はデータ解説のみであるので、ページ作成者のデータ解釈を含む。
(注)ブラジルの対外債務総額は151,497(100万$)(1993〜1995)

(資料)

原資料から、一人当たりGNPを基準として、各地域内から上位二カ国、下位二カ国を選んである。なお、オセアニアについては上位一カ国、下位一カ国とした。

  主要国のGNP(1995年) 年平均ODA 対外債務
  総計 一人当たり (1993〜1995)
アフリカ        
ガボン 3,759 3,490 143 4,113
南アフリカ 130,918 3,160 318 ----
タンザニア 3,703 120 932 7,028
モザンビーク 1,353 80 1,159 5,547
ヨーロッパ        
スイス 286,014 40,630 -953 ----
ドイツ 2,252,343 27,510 7,099 ----
マケドニア 1,813 860 --(不明) 1,073
アルバニア 2,199 670 203 821
北米        
米国 7,100,007 26,980 -9,139 ----
カナダ 573,965 19,380 -2,239 ----
中米        
トリニダート・トバコ 4,851 3,770 17 2,302
メキシコ 304,596 3,320 411 145,757
ニカラグア 1,659 380 530 10,429
ハイチ 1,777 250 350 776
南米        
アルゼンチン 278,431 8,030 244 79,252
ウルグアイ 16,458 5,170 96 5,074
ボリビア 5,905 800 616 4,815
ガイアナ 8,158 590 92 2,032
アジア        
日本 4,963,587 39,640 -12,966 ----
シンガポール 79,831 26,730 19 ----
バングラデッシュ 28,599 240 1,470 15,737
ベトナム 17,634 240 660 25,640
ネパール 4,391 200 414 2,241
オセアニア        
オーストラリア 337,909 18,720 -1,080 ----
ソロモン諸島 341 910 50 154
  (100万米$) (米$) (100万$) (100万$)

(注)ODA でのマイナスの値は拠出を示し、対外債務の ---- は債務額がゼロであることを示す。