2001年度計量社会科学
第1回レポート(選好、効用、ゲームの準備)

略解


1 [算術と代数] ツルとカメあわせて 10 匹(羽)の足は計 36 本である。それぞ何匹か。
i) 小学生の家庭教師になったつもりで、問題の解法を考えなさい。
ii*) 行列を用いてこの問題を式に表し、行列式でこの解を求めなさい。

i) 2 羽, 8 匹。つるかめ算で、『ゲームとしての社会戦略』に紹介。
ii) テキスト巻末に概説あり。この程度必須。

2 [ゆずりあいのゲーム/準備]
a) A 君, B さんは仲のよい 2 人で、どこへいくのも 2 人で行く。ただし趣味はかならずしも一致せず、たとえば幕張のモーターショーと浦安のディズニーランドという具合である(Battle of Sexes)。2 人の行動のあらゆる組み合わせを考え、それぞれの結果を評価しなさい。できれば短い会話文を想定すること。
b) 映画「タイタニック」によれば、タイタニック号に乗船していた D(男性), W(女性)はそこで知り合った恋人であった。沈没する同号から救命ボートへ乗れるのは運の悪いことに一家族(あるいは各グループ)一人と決められた。乗りすぎで救命ボートが沈んでしまうからである(タイタニック・ゲーム)。誰がのるか(のりたいと思うか)、想定されるすべての場合に、D, W はおのおのどのような気持をもち、どのような行動をし、どのような結果がそれから予想され、どのような評価(損得、精神的効果など)が与えられるか。できれば短い会話文を想定すること。
  (注) 私の本(社会戦略)に対し「浦安」は「舞浜」にすべきという指摘がありました。

a) 『両性の闘い』の有名な例。会話は『ゲームとしての社会戦略』にあり。
b) 相手のために犠牲になる精神的高貴。修羅場で我欲を出す醜さと人間的弱さ、相手への幻滅。互いに譲り合ってともに機会を逸する不合理。会話は『ゲームとしての社会戦略』にあり。

3 [選好順序] {紅茶、コーヒー、日本茶}に対するすべての選好順序を挙げなさい。なお、
i) 無差別を認めない場合、ii) 無差別を認める場合、をそれぞれ考えなさい。適当に略記してよい。

i) 明らかに 6 通り。
ii) 13 通り(テキストにあり)

4 [対数効用] x 円の効用が log x のとき(対数効用)、50, 100, 1000, 5000, 1万, 10万, 30万, 100万, 200万, 500万, 1000万, 4000万, 1億, 5億(円)の効用を計算しなさい。
  注) 対数表は図書館ですが、「社会戦略」(p.90)にあります。EXCEL にもあります。

log (200万) = log (100万)+log 2 = 6 + 0.3010 = 6.3010 etc.

5 [集団の決定] X, Y, Z に対する 3 人 A, B, C の選好順序(>)
          A:X>Y>Z, B:Y>Z>X, C:Z>X>Y
がある。議長が「議長は中立ですから投票の管理だけやります」「さしあたり、X と Y で投票し、次にそれと Z とで投票しましょう」と宣言した。この議事進行は公平か。

最後に比較されるものが勝つので、議事順序だけで決まり、この進行は不公平。

6 [パレート最適] ようかん(あるいはピザ)を 2 人A, B で分ける方法として、半々はもちろんどのような分割割合も、公平・不公平と無関係に、「パレート最適」であることを説明しなさい。ただし、資源は有効に活用する(ムダはよくない)という前提がある。

全体 = 100 とする。X > x, Y > y で、x + y = 100 かつ X + Y = 100 となることはありえない。

7 [市民主権] 「パレート最適」は政治においては民主主義の「市民主権」を表現している。この考え方の長短を述べなさい。

すべての人の順序がそろったとき社会的順序とすれば、すべての人に満足な社会的決定がされる(民主的)が、99 対 1 のときには決まらず(弱い決定)、1 人の翻意への圧力(全体からの注視)がきびしくなる等。

8* [論理計算] 命題
 p ならば q である

 「p でありかつ q でない」ことはない
と解釈することにより、p, q の真・偽ごとにこの命題の真・偽を決めなさい(真理値表)。

p → q の真偽は p が真なら q の真偽に一致し、p が偽なら q の真偽にかかわらず真となる。以上 4 通り


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