2002年度 計量社会科学
第2回レポート(ゲーム)

注) 1番、2番、5番に修正・解説を加え、7番、8番を出題しました(6/9)。
注) 7番の利得を訂正しました(6/18)。


1 【2 人ゼロ和ゲーム、ナッシュ均衡】 次の利得行列で定義される 2 人ゼロ和ゲームの、混合戦略でのマクスミン戦略、マクスミン値、ミニマクス戦略、ミニマクス値を求めなさい。2 つの値は一致することを確かめること。

10 -2
4 12

2 【シュタッケルベルク均衡、展開形】 表2.5(p.42)のゲームにおいて、II を先手、I を後手として、シュタッケルベルク均衡を展開形に直して求めなさい。逆向き推論(後退帰納法) backward induction を用いること。

3 【クールノー均衡】 逆需要関数が
     P (q) = 30 - 2q,
複占企業 I, II の限界生産費がそれぞれ 10, 12 の場合、各最適反応戦略、同グラフ、クールノー均衡(最適生産量)、均衡価格を求めなさい。

4 【2 人非ゼロ和ゲーム】 「囚人のジレンマ」「チキン」「両性の闘いゲーム」に対して、
     i) 優越戦略(あれば)
     ii) ナッシュ均衡点
     iii) パレート最適点
をそれぞれ見出しなさい。また、これらのゲームにおける i), ii), iii) の諸関係について特記すべき事項を述べなさい。

5 【展開型ゲーム】 3 人から成る議会があり、歳費(議員の給与)の増額法案が提案されている。各議員はこれに賛成したいが、選挙民の反発が恐ろしい。増額の利益を b、反発されることのマイナス(コスト)を c とし、b>c である。議員 1, 2, 3 はこの順序で投票し、投票は順次明らかになるものとし、また、議決は過半数によるとする。展開形ゲームで逆向き推論(後退帰納法) backward induction により、各議員の最適戦略(賛成・反対)を求めなさい。この結果についてコメントしなさい。

6 【協力ゲーム,シャプレー値】 開発ゲームで農家 F のシャプレー値を求めなさい。すなわち、F の入っている提携(K とする)について、F が K から脱退した場合の特性関数 v の値の減少額を計算し、次のウェイト((3.11)による)で加重平均する。

Kのメンバー数 ウェイト
k = 1 1/3
k = 2 1/6
k = 3 1/3

同じく企業家 M、分譲業者 S についても求めなさい。

7 【部分ゲーム完全】 教授は学生に勉強させるために、学期が終わったら試験をやると通告してある。学期が終わってその学期に学生が勉強していたら(していなかったら)教授は予告通り試験をやるべきか、やるべきでないか。ここで、やらない理由は、学生に勉強をさせるために試験の通告をしたのだから、学生が勉強した場合、試験はお互いにムダとなることである。この理由は採用できるか。
 なお、学生、教授の利得は、学生が勉強しなかった場合、試験をやれば (-3, 2)、やらなければ (1, -1)、また、勉強をした場合、試験をやれば (-2, -1)、やらなければ (0, 1) であるものとする。

【ヒント】後ろ向き推論(後退帰納法)から、あくまで試験をする戦略はサブゲーム完全(subgame-perfect)でない。

8 【ゲーム理論の応用】 ウェブ・サイトなどでゲーム理論の応用を 2 例探し、簡単に解説しなさい。
     参考: http://www.qmss.ne.jp/qmss/text/outline/chapter2.htm など。


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