沖縄県平和祈念資料館の設立理念

「鉄の暴風」を記憶しよう


 1945 年 3 月末、史上まれにみる激烈な戦火がこの島々に襲ってきました。90 日におよぶ鉄の暴風は島々の山容を変え、文化遺産のほとんどを破壊し、20 数万の尊い人命を奪い去りました。沖縄戦は日本における唯一の県民を総動員した地上戦であり、アジア・太平洋戦争で最大規模の戦闘でありました。

 沖縄戦の何よりの特徴は、軍人よりも一般住民の戦死者がはるかに上まわっていることにあり、その数は 10 数万におよびました。ある者は砲弾で吹き飛ばされ、ある者は追いつめられて自ら命を断たされ、ある者は飢えとマラリアで倒れ、また、敗走する自国軍隊の犠牲にされる者もありました。私たち沖縄県民は、想像を絶する極限状況の中で戦争の不条理と残酷さを身をもって体験しました。

 この戦争の体験こそ、とりもなおさず戦後沖縄の人々が米国の軍事支配の重圧に抗しつつ、つちかってきた沖縄の心の原点であります。

 “沖縄のこころ”とは人間の尊厳を何よりも重くみて、戦争につながる一切の行為を否定し、平和を求め、人間性の発露である文化をこよなく愛する心であります。私たちは戦争の犠牲になった多くの霊を弔い、沖縄戦の歴史的教訓を正しく次代に伝え、全世界の人々に私たちの心を訴え、もって恒久平和の樹立に寄与するため、ここに県民個々の戦争体験を結集して、沖縄県平和祈念資料館を設立いたします。

1975 年(2000 年 4 月 1 日一部修正)

沖縄県

資料:同名の配布パンフレット


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