歴史は二度演じられる

ただし、二度目は格落ちした茶番劇として


ヘーゲルはどこかで述べている、すべての世界史的な大事件や大人物はいわば二度あらわれるものだ、と。一度目は悲劇として、二度目は茶番(farce)として、と。かれはつけくわえるのをわすれなかったのだ。ダントンのかわりにコーシディエ−ル、ロベスピエールのかわりにルイ ・ブラン、1793 年から 1795 年のまでの山岳党のかわりに 1848 年から 1851 年までの山岳党、叔父のかわりに甥。そして「ブリュメール 18 日」の再版が出される情勢のもとで、これと同じ漫画が!

マルクス(伊藤・北条訳)『ルイ・ボナパルトのブリュメール 18 日』岩波文庫

注)

ヘーゲル(1770-1831)
ドイツの哲学者
ダントン(1759-1794)
フランス革命(大革命)の指導者の一人。新興資本家と結託、革命の過激化の中、内部分裂で処刑。
コーシディエ−ル(1809-1861)
フランスの社会主義者。二月革命の臨時政府の警視総監。
ロベスピエール(1758-1794)
フランス革命(大革命)の指導者の一人。理念的指導者でもあり、ダントン派を粛正するも、革命の保守化で失脚、処刑。
ルイ・ブラン(1811-1882)
フランスの社会主義者・歴史家。共和的民主主義者として、二月革命に参加、臨時政府の閣員。労働者暴動の関与の嫌疑を受け失脚。
山岳党
フランス大革命当時のジャコバン党。都市の小商店主、手工業者、職人労働者の利益を代表し、封建的土地所有の撤廃を徹底、反革命に対する苛烈な弾圧を行って、独裁権力を確立。しかし、彼らの経済的要求を満足させるところとならず、支持を失って没落。名前は議席が院内の高いところにあったことによる。
二度あらわれる
フランス大革命(1789-1794)と同二月革命(1848)をいう。