がんを診断するための検査法があるとしよう。D を被検査者はがんであるという事象,F を検査の結果が被検査者はがんであると示す―すなわち,検査結果が陽性となる―事象とする(ここで,C は補事象を示す)。次の問題を解いてみよう。
i) P (F | D) = 0.95,P (FC | DC) =0.95 であれば,検査法は一応は信頼できるものといえよう。検査を受ける人の中で,実際にがんの確率が P (D) = 0.005 のとき,P (D | F) を求めなさい。
ii) i)において検査の信頼性が 0.95 でなく一般に R(0 < R < 1)としよう。P (D) = 0.005 は変わらないとするとき,P (D | F) >= 0.90 となるためには,R はどの範囲の値であるべきか。
ここで,P (○ | ×) とは '' × のとき ○ の起こる確率 '' という意味で,「条件付確率」とよばれる(○, × は事象を表す)。
i)ベイズの定理から P (D | F) = 0.0872 となって著しく低い。
ii)は,ベイズの定理で P (D | F) >= 0.90 を解くと,
0.005 R / {0.005 R + 0.995 (1 - R) } >= 0.90
から,R >= 0.99950 と苛酷なほど高い。
3 個のつぼ E1,E2,E3 があり,その中に赤の玉,白の玉がそれぞれ 3:1,1:1,1:2 の割合で入っている。実験として,ランダムに指定されたつぼの中から玉が勝手に 1 個とり出され,どのつぼからとり出されたかは告げられず,玉の色だけを告げられたものとする。いま,玉の色が赤であると告げられたとき,その玉が,それぞれ E1,E2,E3 からとり出されたものである確率を求めよう。
易しいので自ら試して下さい。
ある両親から,連続して男の子が3人生まれた。次の子が女の子である確率は何ほどか。
男の子,女の子をそれぞれ 1,0 とおくと,問題は 1 の確率 θ の値である。すなわち,ベルヌーイ分布(一般には二項分布)の場合である。
男の子が生まれるという確率 θ の値については,まだ 1 人も子供が生まれていないときには,θ はおそらく,大略 1 / 2 を中心に分布するであろうという以外は,何もわかっていないとして,θ に一様分布 ω (θ) ≡ 定数を仮定しよう。α = β = 1 である。
男の子が 3 人生まれたというデータを得たときは,θ についてこの考え方は変わってくるはずである。それは α′ = 4,β′ = 1 なるベータ分布で表される。この分布の期待値は α′ / (α′+β′) = 4 / 5 であるから,次の男の子である確率は平均 4 / 5 程度であるという予想になる。女の子になる確率は,平均 1 / 5 程度にすぎないと予想される。