バリマックス回転前の因子の出方から、固有値が1を超えるのは第4因子までであり、累積寄与率も第4因子までで81.51%となるので、第4因子までについて考えることにする。そこで、バリマックス回転を行って、単純構造(色つき)を出現させて解釈しよう。
第1因子は、自信・技量(販売手腕)・抱負(野心)・明晰さ(洞察力)・理解力・志望動機(やる気)・将来性の7項目において因子負荷量が高いことから、「やる気と能力」を表わす因子といえる。別の言い方をすれば、精神面での積極性(自信、抱負、志望動機)と状況把握力(技量、明晰さ、理解力)を備えた、セールスマンとしての実力である。
第2因子は、経験・履歴書・会社向き(適性)の3項目において因子負荷量が高いことから、「経歴と適性」を表わす因子といえる。
第3因子は、好感度、誠実さの2項目において因子負荷量が高いことから、「人柄の良さ」を表わす因子といえる。
第4因子は、学力の因子負荷量が高いことから、「学力」を表わす因子である。
ここまでの4因子に含まれない項目は、容姿と志望程度の2項目であり、これらはセールスマンとしての評価にほとんど影響していない。 採用基準という観点でいえば、「やる気と能力」、すなわち、能力を伴った積極的な姿勢が重要と解釈される。
寄与率を見ると、第1因子が38.31%を占めており、第2因子と第3因子は、それぞれ18.18%、16.03%と第1因子の約半分、第4因子はさらにその半分の8.98%であるから、セールスマンとして採用されるには、第1因子の「やる気と能力」が重要といえる。
蛇足だが、共通性を見ると、「学力」が低く、「容姿」と「志望程度」も考慮されないことは、少々意外な結果である。机上の知識より現場での適応力、外見より内面、志(こころざし)を高くもち、状況に応じた機敏な対応のできる人が求められているのであろう。
(解説:流通経済大学教授中村美枝子氏)
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