データは著名な計量経済学のテキストに載っている英国の貿易データである。GNP
は生産活動のレベルとして、当然輸入量を規定すると想定されている。物価比は輸入品物価の国内物価に対する比で、輸入品の相対的競争力を反映している。重回帰分析の結果の回帰方程式は
y = 1.364 x1+0.114 x2−49.341(R2
= 0.939)
(9.530)(0.794)(−2.051)
で、全体としてフィットはよく、決定係数=0.939 である。
実際、y の変動 1260.889 のうち、回帰を経由して x1、x2 によって引き起こされる部分は 1183.447 で 93.9%になっている。あるいは、回帰の部分は回帰の誤差(残差)77.452 に対し実に 46 倍になっており、この値(F)は極度に有意である。
なお、2 個の説明変数(独立変数)から用いたから高いという原因も可能性として考慮すべきで、自由度補正を行うとR*2=0.918 となりそれでも高い。
変数別に見ると GNP は強く効いており、回帰係数 1.364 はその標準誤差 0.143 の実に 9.5 倍(t 値)に達し、明らかに有意である。有意確率も 0.1%よりもさらに低く、このt値が極めて正に大きいことに対応している。GNP が効いていることはデータからも直接容易にうかがえる。次に物価比の t 値は 0.794、有意確率は 0.457 であって、この回帰係数は有意でない。すなわち物価比は輸入量に対し効いていない。実際、符号は+となっているから、有意な結果であっては困るであろう。以上、t値は回帰方程式の各変数の下のカッコの中に入れ、判断しやすい形にしてある。
次は GNP に対する回帰係数の信頼区間(信種係数=95%)は [1.014、1.715] であるが、物価比は−を含んでいる。ただし、物価比は変数として採用されないから、この考慮自体は不要である。
あてはまり(フィット)は極めて良いことがわかったが、実際、あてはまりの誤差(残差)を 9 個の観測値ごとに見ても最大はずれでさえ−4.96 で、予測の標準誤差(s.e.)3.595 に対し約 1.38 倍程度にすぎない。±3 s.e.(約99.7%範囲)、±2 s.e.(約95%範囲)のいずれの基準でも範囲内である。
また、決定係数の平方根(√)を「重相関係数」といい、1変数(y)対多変数(x1、x2)の間の相関係数を意味する。ここでは 0.969 である。
最後に、やや理論的であるが、決定係数の自由度補正は
R*2 = {(n−1) R2−p} / {n−(p+1)}
により計算される。n はサンプル数、p は独立変数の個数である。
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