いろいろな学問の体系

「学び」のはじまり

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 この絵は、学者たちがタイムスリップして一堂(アテネの学堂)に会しているルネッサンス時代の有名な絵画でバチカン美術館にあります。なかなか壮観ですね。この絵は「アテネの学堂」といわれ、ソクラテスープラトンーアリストテレスと受け継がれたギリシア哲学の主流「アカデメイア派」(アカデミック、アカデミーの語源)の学校です。

 まず中央のお二人は、左が哲学者プラトン(天上のイデアを指す)、右がその弟子アリストテレス(地上の万物を指す)。師弟ですが、指す方向が違う。弟子は先生から離れたと言う説と、いや基本的には守ったと言う説と、両説あるのはご存知の人も多いでしょう。一応は仲悪くないようには見えます。プラトンから左へ三人目で左向きで対話している茶の衣服(前頭部が後退)が、そのプラトンの師で「真の知」を説く哲学者ソクラテス。その向かって真左こちら向きがソクラテスの友人で歴史家クセノフォン、最左端柱に隠れるように赤子によりそう老人が「アキレスと亀」の哲学者(エレアの)ゼノン、その左こちらを向きで本をよむのが快楽主義のエピクロス。中央下で紙を前に思索しているのは世界生成の本質を説く「暗い」哲学者ヘラクレイトス、その右で肌を見せて半ば寝ているのは同じくディオゲネスです。

 さらに、左下で図式(実は音楽の協和音)を書き付けているのはピタゴラス、右下で俯いて作図するのは数学者ユークリッド。そのすぐ右後ろ向きで球を手にする天動説のトレミー(プトレマイオス)、その対面のひげの老人はゾロアスター。その向かって右、細面の青年で黒い帽子をかぶる作者ラファエロ自身もちゃんと入っている。そいういえば、プラトンはレオナルド・ダ・ヴィンチ、ヘラクレイトスはミケランジェロ、ユークリッドはブラマンテをモデルにしている。

 近代の諸学問の発展は、ギリシア・ローマの古典文化や学問の復興を重要な基礎としていました。近代の日本も大きな影響をうけたヨーロッパの近代啓蒙精神や諸学問は、この「ルネッサンス」の精神と「宗教改革」による個人の意識の目覚めによって支えられていました。


 これの模写の壁画は東京都文京区東大農学部前の地下鉄南北線「東大前」改札口付近にあります。近くの文京区立六中の美術部作成です。


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