2002 年度 夏学期 試験問題 90分(2002.7.31)


持ち込み可 :テキスト(副読本を含む)、自筆ノート、電卓
持ち込み不可:ノートをコピーしたものの類
  問題順に解答を書くこと。


[1] 効用について、 異なった個人に属する効用を加えることはできない(同趣旨として、利得や苦痛を加えることはできない。したがって、たとえば囚人のジレンマで 8 年+8 年 = 16 年などの計算は無意味となる)ことが、一般的に仮定される(効用の個人間比較の禁止)。この仮定の意義を述べなさい。

[2] 2 つの企業が競争しており、企業 I がプライス・リーダー、II が追従者である。
 逆需要関数は P = a−bq(q = q1+q2, q1, q2 は各生産量)、限界費用(1 生産単位あたりの生産費)は c1, c2 とする。企業 II の最適反応関数を求めなさい。

[3] 次の状況(仮想状況)を、既知のゲームを用いて定式化し、規制緩和とは権力闘争の本質をもつことを示しなさい。戦略、利得(効用)、均衡点 etc. を明示すること。

−新興の運送業者「白クマ便」は、郵便は同一市内でも 1 日かかるが、自分たちは「同一市内どこでも 1 時間以内 100 円」として、文書配達サービスを開始、消費者から大変好評であった。郵政省は「郵便は明治以来国家独占事業。郵便法違反だ。」と渋い顔をした。−

[4] ポートフォリオ選択問題において、2 証券 A, B の利得率の相関係数 ρAB が −1 である仮想的ばあいの、2 証券の最適組み入れ比率 (x, 1−x) を求めなさい。
   <ヒント> 0 リスクとなる。

[5] 不確実性あるいは情報量の単位「ビット」(bit = binary digits)を理解するため、日本語字母五十音あ、い、う、え、お、か、・・・に 2 進符号を与える方法を考え、桁数に注意しつつ「あ」「い」および最終字母の符号を書きなさい。なお log2 = 0.3010。

注) 日本語で五十音すべてが現用されているか否か、また最後の字母が「ん」であるか否かなどは、この際問わない。

[6] 2 国間軍備のリチャードソン・モデルにおいて、軍備の消耗傾向が防衛傾向より大なら 2 国間関係は安全保障的に安定であることが証明される。このことの意味を数理的に明確にし、かつ証明を与えなさい。

[7] 線形計画法(Linear Programming, LP)の考え方から、i) ”環境を汚染する権利”(汚染権)売買の論拠・方法が出てくること、ii) よって「環境保護か開発か」をめぐる先進国対開発途上国の利害対立を一定程度調停できることを示しなさい。
   <ヒント> どのような「考え方」か。

最終回(第 6 回)レポート  問題文、締切、提出方法、2 年生については、http://www.qmss.ne.jp/portal/ から「計量社会科学」ウェブサイトへ入ること。


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