1997 年度 夏学期 試験問題 (1997.7.30)


松原(望)教官         「計量社会科学」試験 1997.7.30

テキスト、自筆ノートのみ持ち込み可。電卓および簡易なマニュアルも可。

 

[全般的注意] 数理的・論理的展開能力を見ているので、エッセー風のみの解答
には低い評価しか与えられない。数理的概念、そのモデルを述べるときは、記号・
式の定義ないしは意味、必要な図、表などを必ず添えること。重要事項につきテキ
ストを引用する場合は、ページ、式・図・表番号を示すことが望ましい。

1. 次の概念・命題を数理的に(式で)記述しなさい。数値例でもよい。
   i) 非独裁
   ii) エントロピー増大原理の確実性
   iii) Don't put eggs in one basket.
   iv) 無差別曲線上の最適化

2. パレート最適性、パレート原理について、
   i) 概念の定義、ii) 数理モデルの例、iii) 解釈・コメント(批判)
  を述べなさい。特に iii) はくわしくかくこと。

3. ナッシュ均衡点について
   i) 定義、ii) 例 2 通り、iii) 存在の判定条件
  を挙げなさい。ii) の1つは現実ないしはそれに近い例であることが望ましい。

4. 2 人ゼロ和ゲームの混合戦略を図から求める場合、相手方プレーヤーは純粋
  戦略(2 通り)をとっていると仮定して利得・損失のグラフを書いた。しかし、
  実際は相手方も混合戦略をとっているから、これは1本のグラフになるべき
  である。そのグラフは水平なグラフになることを(例でよい)示しなさい。

5. 次の命題を数理的に根拠付けしなさい。
   犯罪者は犯罪利得と刑罰の制裁の間で賭けをしていると考えられる。逮捕・
   検挙確率(国家が制御するパラメータ)の大きさがそれほど大きくなくてもあ
   る程度に大きければ、リスク回避的である犯罪者は犯罪行為を行わない。

6. ロジスティック微分方程式において時間0で環境容量を超えた点から出発し
  た場合にも、十分な時間の経過後は環境容量に収束することを数理的に示し
  なさい。すなわち環境容量は上、下からアトラクター(attractor)であることを
  示しなさい。