アリソンの第二モデル:
「組織過程」Organizational Process


「政府は構成組織が情報を処理する通りに選択肢を規定し、その結果を予測する。政府はこれらの組織がルーティンで決める通りに行動するのである。したがって政府の行動は、意識的な選択というよりも、行動の標準的形式に従って機能している大きな組織の出力である。」(p.81)

「政府の行為は、統一された指導者グループによって部分的に調整された組織的出力であるというモデルの理解のしかたは、政府の行動を、単一の意思決定者の選択として理解する古典モデルを補完するものである。」(p.167)


組織理論と経済学に関する概論

組織的選択の理論の前提:「限定合理性」

        a) 問題の要素化
        b) 満足化
        c) 探索
        d) 不確実性の回避
        e) レパートリー

[参考] 経済学における企業理論からの帰結命題

       (1) n商品の投入量・産出量の最適量
       (2) 均衡において生産物間、生産要素間の限界代替率は価格比に等しい。
       (3) 生産物に関する生産要素の限界生産性は価格比に等しい。
       (4) 生産される財の量については、限界費用は価格に等しい。
       (5) 生産物の価格上昇は供給を高め、要素価格の上昇は需要を減少させる。  
       (6) 交差価格効果は対称的
       (7) (略)

サイアート・マーチ『企業の行動理論』(R. Cyert and J. March, A Behavioral Theory of the Firm

 分析枠組みの3主要カテゴリー
          (1) 組織的目標
          (2) 組織的期待
          (3) 組織的選択 
 以上に影響を及ぼす諸変数を関連づける基本概念
          (1) 紛争の準解決
          (2) 不確実性の回避
          (3) 問題に誘導された探索
          (4) 組織学習

組織過程のパラダイム

I 分析の基本的単位
II 整理概念
  A 組織的行為者
  B 問題の要素化と権力の細分化
  C 偏狭な優先順位と認知
  D 組織的出力としての行為
     (1) 目標
     (2) 目標に対する連続的考慮
     (3) 標準作業手続(SOP)
     (4) プログラムとレパートリー
     (5) 不確実性の回避
     (6) 問題指向的探索
     (7) 組織学習と変化
  E 中央による調整とコントロール
  F 政府指導者の決定
III 支配的な推理パターン
IV 一般的命題
  A 組織による実施
     SOP.
     プログラム
     レパートリー
  B 組織的選択
  C 限られた柔軟性と漸変的変化
  D 長期的企画
  E 目標とトレード・オフ
  F 縄張り争い
  G オプションと組織
  H 行政的実行可能性
  I 上からの指導による変化
V 具体的命題
  A 核抑止
  B ソ連の軍備態勢
VI 証拠