Q & A

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第1章

センの「リベラル・パラドックス」でパレート原理が「自由」の原理であることがよく理解できませんが。(理科生)

参加者全員の判断が一方向にそろったとき(そしてそのときだけ)それが社会的決定になる(パレート優位)のですから、一人でも反対方向の順序をもてばその社会的決定にはなりません。つまり、その人の反対は尊重され、多数で押し切られなかったという意味で自由が保証されたわけです。でも自由としては、やや消極的なものになりましょう。

 

練習問題 1 番の、例の洋食、和食、中華の問題で、決定が出ないというのは、もともとのデータが「三つ巴」になっているので、あたり前の感じがしますが、他に決定の方法はないのですか。点数を与えて合計するとか。

数量を与えるというなら、基数効用(効用関数)の問題、つまり 3、4 節の内容になるのです。これだと決まりそうですが、それでも異なる人の効用を加えていいかという問題はおこりますし、それ以外にもいろいろな新しい難点が出てきて完全とはいえません。点数化はボルダ式投票といわれます。

 

1, 2 節から現実をいろいろとモデル化するということの大切さがわかりました。いろいろなところへ適用されるのでしょうね。

たとえば、パレート原理などから、開発途上国の発展問題に関して大きな論点がでます。つまり、先進国が賛成しないと開発途上国だけでは決まらない、ということでよいのか、という政策的論点などが出てきますね。

 

効用の話が出てきましたが、この効用は実際にもとまるものなのでしょうか。

効用は説明のための(理論の操作上の)概念で、求めることはほとんどありません。 ただし、実際にこれを測定する実験心理学、経営学の研究は多少はあります。アメリカのビジネス・スクールは、これを授業でやるそうです。

 

第2章

第2章の混合戦略のプレーの仕方 として、”イスラエルの核兵器”の例をあげて、相手から不確実にすることで自分 が優位になれるという説明が講義中にありましたが、よくわかりません。選択肢の数を同じにして、相手に自分の手を教えないとすると、純粋戦略の時も、混合戦略の時も同じことではないでしょうか。

同じではありません。マクスミン値が後者の方が大きくなります。教科書の例で確かめて下さい。

第3章

テキスト p.82 のミニマクス損失基準(サヴェジの基準)がよくわかりません。表 3.7 (訂正はちゃんと見ました)においてこの基準で選ぶと a4 となる、とありますが、どうしてですか。教えてください。僕は a2 になると思うんですが。

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