いまやすべての統計学者は多少なりともベイジアンである
スッキリした論理と一貫した方法により現象を的確にとらえる
インターネット上のフィルタリングでも基本コンセプト
「ロンドンの眼」London Eye あるいは「輪」The Wheel
テームズ河畔にある ロンドン新名所
建設は今世紀に入ってから
『入門ベイズ統計』東京図書
経済学者・数学エッセイスト,小島寛之氏の書評
20080724:『入門ベイズ統計』の読みどころ
20080727:統計学の面白さはどこにあるか
キーワード: 確率、推量、診断、データ分析、心理、戦略、意思決定、情報検索、コンピュータ、インターネット、経済・経営、医学、工学、国際関係
「ベイズ統計学」は、18世紀イギリスの確率論研究家トーマス・ベイズ(1710-1761)が提案した「ベイズの定理」とよばれる逆確率計算法を基礎にした統計学の体系である。これに対して、現在広く大学などで教えられ応用されている統計学の体系(検定、推定など)は、統計学史的にいうと「ネイマン・ピアソン理論」といわれ、20 世紀の統計的品質管理の考え方をややむりを承知で統計理論に仕立てたものである。よくできた理論である一面、たとえば「有意水準5%」が天下りで不自然であるなど、初心者から見てもおかしな疑問点がいくつもある。もとは品質管理理論であったことの限界が見えているのであろう。初心者の疑問の方が正しかったのである。
そういう不自然な仮定を必要としないベイズ統計学が、このような中で脚光をあびてきたのは当然である。現在、本場アメリカの統計学者の半分近くはベイズ主義統計学者(ベイジアン)であるといわれ、わが国の統計理論の研究者も、かなりの割合でベイズ統計学に一定の理解を示すか、これを信奉しないまでも少なくとも知識のレパートリーに持っていなければ研究が成り立たない時代がやってきている。
筆者がかかわりを持つある国立大学の学部でも、理論統計学スタッフ 4 人のうちすでに 2 人が実質的にベイジアンと推量され、他の大学でも、ネイマン・ピアソン理論オンリーの授業では形式的すぎて学生の関心を十分に引いていないという傾向が強まってきている。ベイジアンは広く柔軟な適用性を重要視する一方、理念を大切にする。しいていえば、ヨーロッパ的色彩が強い。新潮流による新思考が始まっている。
ベイジアンの基本発想は(ラプラスの言い方では)、端的に、「逆確率」つまりは「原因の確率」を中心としている。たとえば
私は病気であるかないかどちらかであるが、私の症状を考えると、私が病気である確率は0.7である。
この言い方を認められますか?「病気であるかないかどちらかなのだから、そもそも確率というのはありえない」ですか? これにこだわる方はベイジアンではありえない。これを柔軟に認められるなら、すでにベイズ統計学の入口に立っている。このように、データも見通しも予想もすべて確率の演算で一貫するのがベイズ統計学の基本発想である。
わが国におけるベイズ統計学唱道の先駆者による解説
1. 背景
2. 確率のベイジアン解釈
3. 尤度関数
4. ベイズの定理
5. 事前分布
6. マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)
7. 事後分布の大標本分布と近似
8. ベイズ推定
9. ベイズ仮説検定
10. 予測原理
11. ベイズ意思決定
12. 回帰モデル
13. モデル平均法
14. 階層的ベイズモデル
15. ベイズ因子分析
16. 分類・判別におけるベイズ推測(*) S.J. Press(2003). Subjective and Objective Bayesian Statistics:Principles, Models, and Applications (2nd ed.). John Wiley.
ベイズと「ベイズの定理(規則)」
ラプラスと「原因の確率」(逆確率)
フィッシャーとフィデューシャル確率
サベジと「ベイジアン」のリバイバル
ド・フィネッティの交換可能事前分布
ジェフリーズの不変事前確率分布
− ジェフリーズの提案
− ボックス、チャオの考え
リンドレーのあいまい事前確率分布
レイファ、シュレイファーの自然共役事前分布
統計的決定理論
ベイズ線形モデル
マルコフ連鎖モンテカルロ法による計算
ベイズ的方法のいろいろな統計的モデルへの適用
グッドの証明理論
その他
統計分析ゼミナール
通常の統計学理論(ネイマン・ピアソン理論)
意思決定理論へ
社会科学では確率は主観(個人)確率
社会的意思決定(例:環境問題)でも直観は重要役割/テキスト