松原望『入門確率過程』東京図書の読者感想

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本書に関連して、ブラック・ショールズの公式への感想

お陰さまでこれで小生の頭の中でなんとなく闇であった部分がだいぶ解消されたように思います。それはマルクス流に言えば「一つの怪物が全世界をうろついているーヘッジファンドという怪物が」という事態の理論的根拠がブラック・ショールズのオプション理論の理解によって解明されたことを、小生にとっては意味します。そして、あの「ブラック・マンデー」にも、我が国の「バブル崩壊」にもこのオプション理論が深く係わっているのを理解ができました。投機家が値下がりを恐れないで値上がりに相場をはれ、正反対の局面では値上がりを恐れないで値下がりに相場をはれることをこのオプション理論は可能にしたわけです。(理論的根拠を与えた。)ある意味でこれは投機の世界の「パンドラの箱」をあけたことを意味すると小生は見ています。小生はこれにただただ追随しているかのように見える世界のマーケットの風潮に大いなる危うさを感じております(大手金融機関研究員)。

ちんぷんかんぷんであった確率論の基礎が・・・

ゼミで『入門確率過程』を使いました。大変分かりやすい教科書で,学生も最初はちんぷんかんぷんであった確率論の基礎を最後には理解できたと皆喜んでおります(国立大学大学院経済学研究科教授)。

飛躍なく展開され、文系出身でも無理なく最後まで理解できた

確率過程の本については、ある段階から飛躍的に難しくなり完読できずにいたのですが、『入門確率過程』は、飛躍なく展開されており、文系出身の小生でも無理なく最後まで理解することができました(信託銀行運用部勤務、文系出身)。

「定義」だけですませないわかりやすさがいい

 6 章から読み始めて、まだ 8 章が読み終わっただけですが、本のよかったところは、広く使われている、Excel による計算などがホームページ上にあることや、マルチンゲールの考え方をランダムウォークのような身近な例から図つきで初めて学ぶ際にも理解しやすいこと、フィルトレーションがなぜフィルトレーション(ろ紙)というのかなどが書かれてあることと、定義に対する説明が十分であることです。
 僕は株をやっているので、自分の研究とは別で、実際の株価に確率過程の理論をどのようにすればうまく適合するのか考えてみたいです(数理系修士課程生)。

数学一般誌『数学セミナー』でも書評で紹介

「数理ファイナンス自体についての解説書が多数出版されている中で,本書は,それ自体の解説書としてではなく,むしろ広くこの分野に関心のある人々を確率過程の世界へと誘うことで,結果として,数理ファイナンスの必要性と難解さとの乖離(かいり)を橋渡ししてくれるという待望の書である」(6月号)

 * 詳しくは『数学セミナー』ブック・プラザをごらんください。

いつのまにか理解していた

 著者の言う「3モットー」(わかりやすい、ためになる、おもしろい)に基づき,確率の基礎を丁寧に解説するとともに興味あるデータや図表を多用し読者の興味を引きつけ,いつの間にかランダムウォークやブラウン運動の概念を理解していた,という良本だと思います(大学数理統計学 教員)。

確率過程=マルコフという観念が抜け切れない

 大変魅力的な内容で、すでにアマゾンから購入していた読ませて頂いておりました。おっしゃるとおり、学部教育向けの適当な教科書がなかなか手に入りにくい、という状況で、この本の出版は待望の一冊といえるかもしれません。
 ORにどっぷりつかっていると、確率過程=マルコフという観念が抜け切れず、ランダムウォークを講じるにもまずマルコフ過程を教えてから、ということになると、大部になり、教科書のサイズにまとめることがむづかしくなります。機会があれば使わせて頂こうと思っております(OR専攻大学 教員)。

数学者に対する警告

 日本の数学者は確率や統計に対する認知度が低く,他の学問分野や社会を生きて行く上で最も大切なことを相変わらずないがしろにしてきたツケが,今までにまして多く見られます(*).それに対する鋭い警告の意味もこめらています(大学教授/意思決定論).

 * 数学者のなかにも従来の行き方では数学は行き詰まるという反省と改革の機運がないわけではないようです(松原)。

圧巻、目からうろこ・・・

 読み始めて、その面白さに引き込まれ、1日でほとんど終わりまで来てしまいました。
 ランダム・ウォークの章からは圧巻で、がっつくように読み進みました。世に、確率論やファイナンスや確率過程を扱った本はあまたありますが、どれを読んで頭の働きの鈍い私にはわかったような気がしませんでした。しかし、この本には、「それがどういう意味か知りたかったんだよ」という点について、直感的な理解の仕方が満載で、非常によくわかりました。
 とりわけランダムウオークだけを題材に、マルチンゲールやlimsup liminf ボレルーカンテリ、極限定理、等々の意味するところを直感的に説明していただいたのは、目からうろこの連続でした。
 ここで十分なイメージがつかめているので、ブラウン運動で連続化されても、それが離散での何と対応しているのかがよくわかり、「伊藤過程も確率微分も恐るるほどになし」と思うことができました。
 とりわけ、ギルサノフの定理の、尤度比での説明は、「なーんだ、そういうことなのか」と、ピンときてしまいましたです(経済学教員/数理出身)。

ゼロから出発する読者を一気に高度な地点に

 この分野は経済系の学生にとっては必須の内容でありながら、実際には、数学的な壁のため、経済系の学生には
これまでなかなか近寄り難い分野であったのではないかと思います。
 本書は、細部を切り捨て本質的な部分に焦点を絞ってあるために、全体の流れが捉えやすく、また予備知識もほとんど仮定しないため、ゼロから出発する読者を一気に高度な地点にまで引き上げてくれる貴重な本だと思います(経済系大学 教員)。

新しい観点からの構成

 確率過程の入門書として新たらしい観点からの構成に感服しました(数理統計学専攻大学教員)。

保険の世界では確率過程はもはや必須

 アクチュアリー(保険数理の専門家)として保険会社で働いているものです。
 アクチュアリーの世界においても確率過程の知識は必須のものになりつつありますが、残念ながら現在の試験のカリキュラムにはなく、自分で勉強するしかないのが実状です。
 本書は、確率過程の基礎が非常にわかりやすく書かれている上に、確率の初歩からはじまって伊藤の公式・ギルサノフの定理までコンパクトにまとまっているとの印象を持ちました。実務で使われる確率過程を勉強するには最適の本だと思われます。(会社員・日本アクチュアリー会正会員)

本書のメリット

 まさしく「3モットー」を実現されていることに感動しました。(工学系教員)

確率積分を一生知らないで終わるところでした

  確率統計の内容を懐かしく思い出すとともに、確率積分の基礎を初めて理解しました。一生知らずに終わる所を、貴重な知識を得ることができました。(土木工学系教員)

しっかりしたいい本

 重要な概念がしっかりと説明されているいい本だと思います。(数理工学系教員)

野心的で面白い

 この程度の量で,順序を踏んで伊藤過程,ギルサノフ定理まで進めるというのは,大変野心的で面白いと思いました。(数理統計学専攻教員)

今風のわかりやすい教科書

 図表や囲み記事等が多く、とても今風のわかりやすい教科書だと思います。時間を見つけてゆっくり勉強したいと思っています。(若手文科系教員)

文系のOBにも数学は避けて通れなくなった−数学は暗記科目!

 野口氏(以下N氏)が今週の週間ダイヤモンド誌で「数学離れを加速させる『数学は理解』という妄想」と発言されています。私が驚いたのはN氏自身も「数学は理解」という考えに長い間呪縛されていたということです。
 ところがN氏は大学の教養課程の時間に、後の世界的数学者T先生が言った「数学は暗記だ」(*)という衝撃的なひと言で「数学は理解」という呪縛をフッキレ、このひと言をもっと早く聞いておればと悔やんだそうです。
 松原先生はこのT先生をご存じですか?またT先生の発言は額面どおりに受け取ってもよいのでしょうか?(小生はT先生は「暗記すべきところは暗記し、自己の創造力を発揮しなければならない分野でこそ本来の自分を発揮すべきである!」とういうのが真意であったように思います。もっとも公式が暗記できなくてはその先に進めませんが。)
 小生もファイナンス理論には興味を抱いており、その方面の理論の動向をウォッチして行こうと思っております。従って文系のOBであっても「数学」は避けて通れない学問となりました。
 ただ、幸いなことにPCの発達により実用に供されているファイナンス理論の適用は簡便になりました。あとはそれをどう考えるかに全てはカカッテいるように思われます。 (銀行系研究所役員)

 * 出ましたね。確かに社会には大きな勘違いがある。「数学が暗記科目であること」は否定できない。数学的思考は深く、長く、かつ経験的観察(実験)の助けが得られないから、未知の部分の思考に十分な時間を割り当てるためには、既知の事実は思考しなくてよいことにしなくては、実際には限られた時間で問題解決は得られない(松原)。

非常にわかりやすい

「入門確率過程」を読んでいますが、非常にわかりやすく、役に立ちます。(メーカー中央研究所研究員)

本書があって助かりました

『確率過程』は私の属する金融機関の人間、特に“派生証券”、“金融リスク分析”にかかわる者にとっては必須の知識となってきています。一方、「この分野はなかなか難しくて…」と言う人が多いのが現状です。類書は一般に初級者にとって敷居が高く、意欲があっても多くが途中で挫折してしまうというのが実情ではないでしょうか。そういった中、この本を見つけました。「レベルを維持しつつも書かれている内容がわかりやすい」。それがこの本の印象でした。さっそく同僚に勧めましたが「今までよくわかってなかった部分がよく理解できた」との感想を寄せる者もおり、この本を見つけて良かったと思っています。(東京都/金融機関勤務)

確率収束について知っておきたい

本書で確率収束のあたりをもう少し勉強してみたいと考えています。(修士新卒/研究所員)

読む立場に立った本書に出会えて有難かった

 私立大学の教養部で大学1年を対象にした授業で、数学の教官が急遽辞退され、代わりに確率・統計の授業をと依頼され、自分の勉強も兼ねて、お受けしました。それで、自分の勉強になり、かつ、教える元本となる本を探して いたところ、本書に出会うことができ、有難かったです。
 同じ著者の『意思決定の基礎』も名著ですが、いずれも、本質的なところを伝えるよう工夫され、しかも、生徒の立場に立って、書かれていて、教える立場からも有難いことです。 (私立大学教員/経済学)

確率過程の応用を学ぶ者には待ちに待った出版

 本書は、わかりやすく、丁寧に、確率過程の応用へと導きつつ、積分を通じて関数の性質を学ぶという純粋数学の抽象的な面白さをも伝えてくれる類書のない本だと思います。確率過程の難解さに直面しつつも、応用のための概説書ではものたりないという、確率過程の応用を目的として学習する者にとって、本書の出版は、待ちに待った非常に有難い出版でした。 (同上)

もやもやしていたものが氷解

 他書では確率密度と確率の概念が良く掴めませんでしたが、本書は“確率変数の出やすさ”と“区間の積分が確率”の表現で、完璧に理解でき、今までもやもやしていたものが氷解いたしました。なお、通信工学のツールとして確率過程等を復習しておりますが、演習編も是非執筆いただけると幸いです。また、本書のように、本質を深く示しながら、平易で、たんてきな表現は類書には、見ることが出来ません。この意味で、確率の分野に限らず、他の数学分野の出版も期待します。 (川崎市:会社員)


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