Borda Count
童話『不思議な国のアリス』 Alice in Wonderland で有名な論理学者ルイス・キャロル(Lewis Carroll. 1832-1898. 本名はドジソン C.L.Dodgson)による「ボルダ式得点」 Borda Count の方式がある。これはコンドルセよりも以前 Jean-Charles de Borda(1781) により提案されていた得点法(Method of Marks)である。日本人はランキング好きでこれに似たことを無自覚にやっているが、下のようにコンドルセ勝者の考え方とは互いに矛盾する。
カードの国の女王の人気投票をしたとしよう。投票者は 11 人いたが、下の図のように 4 つのパターンに分かれ、それぞれ 3, 3, 3, 2 人であった。上から下へランキングは落ちてゆく。
人数(計 11 人) | |||||
3 人 | 3 人 | 3 人 | 2 人 | ||
得点 | 3 点 | ||||
2 点 | |||||
1 点 | |||||
0 点 |
ハート 対スペード の比較では 5 対 6 でスペードの勝ちである。このように見てゆくと、スペードの女王がコンドルセ勝者となることはあきらかである。
他方、習慣から‘適当に’たとえば
1 位 = 3 点、2 位 = 2 点、3 位 = 1 点、4 位 = 0 点(得点方式)
とすると、得点は
の女王:27 点、 の女王:18 点、 の女王:11 点、 の女王:10 点
となり、スペードの女王はハートの女王にはるかに劣ることになる。
一般に投票にはいくつかの最低条件があるが、コンドセル勝者がいるなら当然それが選び出されるべきである。
いま一つは戦略投票 strategic voting の防止である。最も嫌いな 1 位を落すために、よりましな 2 位に投票し、しかし真の選好は 3 位という場合である。いかなる投票法も戦略投票を誘発するものであってはならない。これを戦略防止的 strategy-proof という。