キューバ危機

あの 13 日間(Thirteen days)


地球の最後、人類の破滅となったかも知れないあの 13 日間(1962 年 10 月 16 日より 28 日まで)の「キューバ・ミサイル危機」はどのような危機であったか。

1962 年 10 月
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

意思決定理論による分析

キューバ・ミサイル危機は、人間の生存にかかわる未曾有の事件であった。つまり、米ソが核戦争のまさに瀬戸際で立ちどまった1962年10月の13日の間に匹敵するものは歴史上存在しない。多くの生命が急に失われる可能性がこれほどまでに高かったことはいまだかってない。もし実際に戦争が起こったのであれば、1億人のアメリカ人、1億人以上のソ連人、数百万人のヨ−ロッパの人々が死んでいたであろう。それだけではなく、過去の歴史上の自然災害や残忍な行為などはとるにたらないようにみえるほどのことが生じたであろう。この破局が起こり得た可能性-ケネディー大統領は「3分の1から2分の1の間」と予測した-からすると、これから逃れることにぞっとする戦慄を感じさせる。この事件こそ、たとえ不完全に「考えられる」ものであるにせよ、我々人類の生き残りについて中心的な事実を象徴するものである。

The Cuban missile crisis was a seminal event. History offers no parallel to those thirteen days of October 1962, when the United States and the Soviet Union paused at the nuclear precipice. Never before had there been such a high probability that so many lives would end suddenly. Had war come, it could have meant the death of 100 million Americans, more than 100 million Russians, as well as millions Europeans. Beside it, the natural calamities and inhumanities of earlier history would have faded into insignificance. Given the odds on disaster --- which President Kennedy estimated as "between one out of three and even" --- our escape seems awesome. This event symbolizes a central, if only partially "thinkable," fact about our existence.

注) odds: 「賭け」の勝ち率、転じて、起こる「確率」。オッズ。
between one out of three and even.........:
  ソレンセン (Theodore Thorensen) の回想による。従来よりよく知られた事実である。
thinkable :
  未来学者ハーマン・カーン Herman Kahn が 将来の熱核戦争 (Thermonuclear War) の惨害を見積もった有名な書『あえて考えられないことを考える』Thinking About Unthinkable (1962) をふまえた言い方

G. T. Allison (1971), Essence of Decision : Explaining the Cuban Missile Crisis, Little Brown and Co..
= 宮里政玄訳 『決定の本質』中央公論社.

「地球最後の日」とはどんな日か?(フィクション、映画)

OnTheBeach.jpg (4165 バイト)  ネヴィル・シュート「渚にて」(Nevil Shute "On the Beach")  OnTheBeach_J.jpg (4799 バイト)