ランダム・ウォーク」と「ブラウン運動」

別名「ウィーナー過程」

 ブラウン運動の乱数実験


名称のおこり

顕微鏡下で水面上の花粉粒子が不規則な(ランダムな)一見極めて細かいギザギザな跡を残しながら動く運動を、発見者の名をとって(2次元)「ブラウン運動」Brownian motion という。より厳密には、確率でこの運動を表現した確率過程を「ブラウン運動過程」Brownian motion process、あるいはこれを数学的に研究した N. ウィーナー(Norbert Wiener, 「サイバネティックス」の主唱者)の名をとって、「ウィーナー過程」 Wiener process ともいう。

観察と理論

要するに無限に細かい(極微の)ランダム・ウォークが「ブラウン運動」である。ランダム・ウォークは ±1(ただしランダム)のみの累積和なので、もともと「ギザギザ」であるが、ブラウン運動もその性質を受け継いで限りなく「ギザギザ」つまりは至る所微分不可能(nowhere differentiable)である。にもかかわらず、花粉粒子の運動跡は途切れていない(とんでない)、つまり連続(continuous)になっている。i) 途切れていない(つながっている)、ii) ギザギザである、iii) 原因においてランダムに動く、この 3 要素を満たす現象は社会に自然に非常に多い(株価、為替相場、あるいは人の行動の軌跡、あるいは分子の運動 etc.)。これらの一群の現象を確率的に考えるとき有効な数学理論が「ブラウン運動」である。

逆に、これをきちんと理解しておかないと、現象の深い確実な理解は望めない。また、確率微分方程式、伊藤の公式、ギルサノフの定理と測度変換などの高度の理論も理解はむりである。

乱数を用いて作る

以上はコンピュータ・シミュレーションで実現できる。簡単のため運動は 1 次元(x 軸上)と仮定し、幅(凵jを極めて細かくした±凾乱数(離散分布の乱数)で出し、それを逐次足し上げればそれがブラウン運動となる。もちろん、時間も超細かくする。実際例は練習問題とする。


 トップページへ