「すべての人がそういうなら・・・」の原理
複数主体の最適な(集団、社会として)意思決定の基本原理で、経済学、政治学、倫理学、集団意思決定理論などで参照される考えであり、賛否はあるものの、ある社会的望ましさの表現として、政策決定では必ず触れられる(第6章4節)。
以下で簡単にまとめておこう。なおパレートは今世紀イタリアの経済学者、社会学者の名。
とする。結果的には全会一致と同じであるが、みながそれ(x)でいいというならそれでいい(y をとる理由がない)、というニュアンスも含んでいる。つまりわざわざ y をとることは無意味でもあり、さらには「無駄」であることから、効率性の考えにも通じる。
x を y に対し「パレート優位」、 y を x に対し「パレート劣位」という。
社会的望ましさの(一つの)基準である。
Cf. 多数決原理
対象の集合 X のある要素(対象)x に対し、
となる y はないとき、x を「パレート最適」という。
したがって、ある人が自分にとって x よりよい y を採用することを申し出る場合、この提案は必ず他の人の利益を害し反対される。
この一見合理的なパレート原理に対しては、セン(A. Sen)による有名な批判がある(「自由」の逆説)。