世界最強のカルテル OPEC
の盟主といわれたイラン・のパーレビ国王 |
「囚人のジレンマ」ゲームの基礎知識が必要ですが、逆にこれら実例でこのゲームの理解を深めてください。
適用例 | プレーヤー | S | P | R | T | 備考 | |
1 | 軍備競争 | 国家 | 弱小化 | 軍拡・国際緊張 | 軍縮協定 | 協定違反強大化 | |
2 | 環境問題 | 企業 | 競争力低下 | 環境悪化 | 環境保護 | 競争力上昇 | |
3 | 過剰生産 | 生産者 | 市場喪失 | 価格低下 | カルテル | カルテル破り | OPEC |
4 | 共有地の悲劇 | 共同体メンバー | 独り貧困 | 共有地崩壊 | 共有地保存 | 売上利得 | ハーディン |
5 | 秩序問題 | 人 | 生命・身体の危機 | 自然状態 | 社会状態 | 優越 | ホッブズ,ロック |
6 | 税 | 国民 | 不公平負担 | 財政危機 | 良好財政 | 不払・軽負担 | |
7 | 公共財(国際公共財) | 国民・国家 | 重負担・ヘゲモン | 財政悪化 | 集合行為 | フリーライダー | オルソン |
8 | 受験競争 | 受験生,両親 | 不合格多年浪人 | 競争激化 | 競争正常化 | 志望校合格 |
(出典)
『計量社会科学』 p.48 表2.8
『社会を読み解く数理トレーニング』 p.156 表8.2 (図付き)
1 | 軍備競争 |
各国としては(その国中心では)、その国は軍縮せず相手国は協定に誠実に軍縮している状態がもっともいい(T)。政治的・軍事的に影響力を及ぼせる。フリーライダーだが、国際社会は「無政府」(アナーキー)で統制する権威は存在せず事実上制止できない。それに次ぐのは両国が軍縮している状態(R)、その次は両国が軍縮しない状態である(P)。ただし、この最後の状態は最悪でなく、最悪はその国は誠実に軍縮しているのに相手国はしていない状態である(S)。残念なことに、この国家の安全は最終的には保証されない。 国際社会全体としては、皆が軍縮しているほうが皆が軍縮していないよりは良い(パレート優位)だろう。 * 国際政治には囚人のジレンマの他の例多いです。 |
2 | 環境問題 |
各企業としては、その企業独り環境保護に出費せず他企業はそれに費用を割く状態がもっともいい(T)。フリーライダーだが、環境保護の費用は競争力を低下させる。それに次ぐのは皆が協力している状態(R)、その次は皆が消極的な状態である(P)。ただし、この最後の状態は最悪でなく、最悪は自分独り積極的だが他企業は消極的な状態である(S)。残念なことに、この企業の競争力は低下し、最悪の場合市場から駆逐される。 社会全体としては、皆が環境保護に積極的なほうが皆が消極的なよりは良い(パレート優位)だろう。 |
3 | 過剰生産 |
過剰生産に悩む各企業は[あるいは農家は]、自分は生産調整せず他企業は協定(価格維持のカルテル)通り調整するのがもっともいい(T)。このカルテル破りはフリーライダーだが、他方カルテルは一般的には違法なのである。それに次ぐのは皆が調整に協力している状態(R)、その次は皆が協力しない状態である(P)。ただし、この最後の状態は最悪でなく、最悪は自分独り調整しているのに他企業はしていない状態である(S)。たしかに正直ではあるが、残念なことに、この企業の出荷高は破滅的に減少すると予想される。 集団としては、皆が調整している状態が皆が調整していないよりは良い(パレート優位)だろう。 * 国際経済では「企業」は「国家」のケースもあり。 |
4 | 共有地の悲劇 |
それぞれの農家としては、自分独り共有牧草地に牛を入れ養育するが他家は慎重に自粛している状態がもっともいい(T)。慣習に対するフリーライダーだが、牛は市場でまっ先に高く売れるし、そもそも1頭の食べる牧草量は全体ではわずかである。それに次ぐのは皆が共有地保護のため自粛している状態(R)、その次は皆が入れてしまう状態である(P)。ただし、この最後の状態は悲劇ではあるが最悪ではなく、最悪は自分独り正直に自粛しているのに他人は牛を入れ牧草を利用してしまう状態である(S)。残念なことに、最後まで売れ残るのはこの農家の牛だろう。 コミュニティー全体としては、農家全部で共有地を保護し牛を入れないほうが皆が入れるよりは良い(パレート優位)だろう。 |
5 | 秩序問題 |
法や国家(政府)の秩序のない原始社会では、人は、自分は動物のように他人を略奪し他人は道徳心でセーブしている状態がもっともいい(T)。フリーライダーではあるが、統制する法はないも同然、極めて生産力の低い状態では生活は狩猟などその日暮らしである。それに次ぐのは皆が法によって社会を作る状態(R)、その次は「万人が万人の敵となる」ような動物的「自然状態」である(P)。ただし、この最後の状態は最悪でなく、最悪は自分独り法に従うが他人はそれに拘束されない状態である(S)。残念なことに、この人の明日の生存は風前の灯である。 集団としては、皆が法に従う「社会状態」のほうが皆が互いに動物である状態よりは良い(パレート優位)だろう。 |
6 | 税 |
個人としては、自分独り納税しないが他人は正直に納税している状態がもっともいい(T)。フリーライダーだが、負担は軽いに越したことはなく他人の負担で公共サービスを受けるのは楽である。それに次ぐのは皆が納税している状態(R)、その次は皆が納税しない状態である(P)。ただし、この最後の状態は最悪でなく、最悪は自分独り正直に納税しているのに他人はしていない状態である(S)。税務署からは表彰されるが、残念なことに、消費生活は不公平なくらい最も地味になるであろう。 集団としては、皆が納税しているほうが皆が納税していないよりは良い(パレート優位)だろう。 |
7 | 公共財(国際公共財) |
国際社会で、各国家は、公共的な国際機構(国際経済・安全保障・人口と食料・文化と教育・環境など)に参加せず他の国家は参加している状態がもっともいい(T)。フリーライダーではあるが、国内外の制約・費用負担などが参加のメリットを上回ることも多い。それに次ぐのは皆が参加している状態(R)、その次は皆が参加せず機構が存在しない状態である(P)。ただし、この最後の状態は最悪でなく、最悪は自分は参加し他は参加しない状態である(S)。残念なことに、他国の分まで重い国際的責任負担を引き受ける国力、理念がのしかかるが、すべての国にこのようなことが可能なわけではない。 国際社会としては、皆が参加するほうが皆が参加せず機構が存在しないよりは良い(パレート優位)だろう。 |
8 | 受験競争 |
個人としては、自分は受験競争を自粛せず他人は自粛している状態がもっともいい(T)。フリーライダーだが、当然合格確率は高まる。それに次ぐのは皆が自粛している状態(R)、その次は皆が自粛しない状態である(P)。ただし、この最後の状態は最悪でなく、最悪は自分独り正直に自粛しているのに他人はしていない状態である(S)。残念なことに、独り大学に不合格になるとすればこの人である。 集団としては、皆が競争を自粛するほうが皆が自粛しないよりは良い(パレート優位)状態だろう。 |
※ 各項リンク作成中。