「戦略論」をテストする

メタ戦略

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「戦略」の定義

「戦略」(ストラテジー;strategy)は一般的には「可能な想定事態をあらかじめおりこんだ行動の長期計画ないしは指針」をいう。意思決定の科学(Decision Science)の分野で扱われるが、その方法論の上で格別の大きな問題や難点はない。

 「戦略」の前提:ほんとうに「戦略的」なのか

問題は、国家安全保障や軍事でのいわゆる「戦略」である。これはなかなか難しい分野である。それもあって、今日は、多くの論者や文筆家によりやさしく「戦略的に考える」ことが勧められ、マスコミや出版によって広く流布する時代である。しかし、実際には、不正確な知識が極めて断片的に得られる以外に、読者を益することほとんどないものも多い。それだけでなく、中には読者を思考のワナに陥れ、意思決定の科学からみても、「戦略的」どころか、ほんとうに「戦略的」ならむしろ避けるべきことがらを勧めるような矛盾した言説も少なからず見られる。

  1. 国際関係を図式的に単純化し、自己の体験を中心に思考。
     => 戦争、国際紛争を不可避とし、権力イメージだけによる歪んだ状況認識を作る。
  2. 人間本来の道徳心や正義感覚に信頼をおかず、進歩を冷笑する。
     => 現実に対する批判の眼が行き届かず、結局はそれの肯定と強化に終わる。
  3. 検証されない自己正当化の世界観や哲学を作りあげる。
     => 協調より対立を重んじ、人間の中の平和への性向を理解しない。
  4. 論理よりは心情に訴え、イメージ操作を行う。
     => 古典や資料を換骨奪胎し、受け入れられやすく自己流に解釈あるいは拡大解釈する。

政治が輝くために

ここで、道徳哲学者エマヌエル・カントの有名な『永遠平和のために』の一節を紹介する。これはカントの中心的著作(いわゆる3批判)に入らない。カントが晩年めずらしく時代の国際関係の現実を意識しながら著した小作品であり、

「国家の対外紛争にかんしては、いかなる国債も発行されてはならない」(第4条項)

などは、その後200年余りの世界史をみればまさに教訓的である。ちなみに、昭和10年代の日中戦争期、日本の戦時国債の年次発行高は国家予算(一般会計)全体を越えていた。=> 資料

政治はそのものとしてはなるほどむずかしい技術であるが、しかし道徳と政治を一致させることは、なんら技術ではない。なぜなら、両者が矛盾しあうようになると、道徳は、政治が解くことのできない結び目を一刀両断にするからである。−−人間の法は、支配権にどれほど大きな犠牲を払わせるようにしても、神聖に保たれなければならない。これを折衷して、実用的で条件づけられた法という(正義と効用の間の)中間物を考え出したりしてはならない。政治はすべて、法の前にひざまずかなければならないが、徐々にではあるが、政治が輝き続けるようになる段階にまで到達することを期待できるのである。

=> 政治は本来道徳的である。道徳は政治に対して優位に立つべきである。 この関係に妥協は絶対ありえないし、対立を避ける技術もあるはずはない。ただし、2つを永遠に対立させるよりは、道徳には政治を理想に導くという責務が与えられていると考えたい。

当面のメッセージとして

以下は制作中でまとまっていないが、全体としては今日の折々の中で有益なメッセージを含んでいると思われるので、ひとまず掲載だけしておこう。


 歴史観と人物論(松本清張 対 司馬遼太郎)

 戦後の「巨悪」は虚像か:松本清張『日本の黒い霧』(上・下)

大岡正平と論争も展開された
『日本の黒い霧』
(1974年文春文庫版)

 進歩をめざさぬ者決して勝つことなし(吉田満『戦艦大和の最期』)

哨戒長臼淵大尉の持論
今日に通じるところあり

 戦史を分析する基本

日米開戦の真珠湾にいまも沈む
戦艦アリゾナの上にある記念館

 わが国軍隊の合理と不合理(新田次郎『八甲田山死の彷徨』から)

明治35年冬陸軍雪中行軍訓練で
大量犠牲者が出た八甲田山大岳。
我国最低気温−41度(旭川)を記録。

 文明の衰亡について  −「日本」は「大変」なのか− New !

ローマの起源の地「フォロ・ロマーノ」
(ローマ市内)

「ここに入った時の感激は到底忘れもできず、言葉にもつくされない」(ギボン)

王朝や政府・政体には滅亡があるが、国土(領域)と人民が実体として永らえれば、ふつうは国家が滅びることはない。もちろん、永遠であるべきとか否とかいう議論はあるが、ここでは別にしておこう。では日本の何が大変なのだろうか。

 歴史は繰り返すのか

―― パリ市内ヴァンドーム広場で ――
軍事的支配者出現で挫折する革命に、めまぐるしく主変わる。マルクスも同著でこの像に触れる。

 意思決定の難しさ −キューバ・ミサイル危機−

「単純化」のミスか、
「私こそ知っている」というワナ。
写真はペンタゴン(米国防総省)と、
アメリカ合衆国の標語。

 ローマは滅びてもローマの精神は滅びず(ローマは三たび世界をまとめた

帝国属州の隅々までのびるローマの道路。
今でも残る堅固な造り。

 よく知られる「戦争と平和」の聖書のことば

「剣を鋤に打ち変える」(平和の創造)
国連本部にあるソ連の寄付の彫刻。

 For President George Bush of the United States of America New !
        --ブッシュ大統領に寄せる--

 銃身を縛られた口径45ミリ・ピストルのブロンズ製レプリカ。
マンハッタン島45丁目の国連本部の総会ビル前広場にある。

 ブッシュ大統領の考え方の背景(制作中)

<以下制作中>